iPhone XS/XS Maxは順調に進化
A12 Bionicは機械学習が飛躍
新CPUである「A12 Bionic」はプロセッサーコアは高性能コア2個、高効率コア4個の6コア構成です。高性能コアは最大15%高速で、高効率コアの消費電力は最大50%少ない性能となります。
機械学習専用ユニットの「Neural Engine」も大幅に強化されました。A11の演算能力が毎秒6000億回だったのに対し、A12は毎秒5兆回の性能となり、機械学習フレームワーク「Core ML」は最大で9倍高速化されるとのことです。
防水性能が進化しIP68
また、iPhone XS/XS Maxの防水性能はiPhone X/8のIP67から進化し、IP68になります。これは2m程度の深さに30分水の中に沈んでいても正常に動くという目安でAndroidスマートフォンでは標準的な防水性能となっているレベルです。やっとiPhoneでもこの防水性能になったかという感じです。
録音がステレオでHDR
今までのiPhoneで動画を録画するときモノラル音声でしたが、今回のiPhone XS/XS Maxではステレオ音声で録画されます。またHDRはSmartHDRに進化とありますが、これは正直よくわかりません。しかし、HDRの新しい規格のようですので、性能がよくなっていることだけは確かです。
eSIM追加でDSDS対応
日本で発売されるiPhone XS/XS MaxでもDSDS対応するようです。ただし、SIMスロットは1つだけとなります。nano SIM+eSIMという組み合わせです。eSIMによるDSDSなので実際の利用形態はまだまだ限られます。
こちらのURLにeSIM利用可能なキャリア情報が載っています。ここを参照すると9/13時点で利用可能な国はアメリカ、欧州がいくつかとインドです。その対象の国に行く人であればeSIMは有効な手段ですが、それ以外の国に旅行に行く人にとっては無意味な機能となってしまいます。日本人がよくいく旅行先で人気があるハワイに行く人はいいかもしれません。また、発売直後のバージョンだとまだeSIMは利用不可能で、年内のソフトウェア更新で利用可能になるとのことです。
iPhone XS/XS Maxの仕様のサイトに気になる説明文が記載されていました。「iPhoneでのeSIMの使用は、通信事業者からの購入時に無効になっている場合があります。」とあります。実際に有効化されてからの情報を待ちたいところです。安全策を取るならSIMフリー版を購入しておく方がよいかもしれません。
そしてこの情報を見ると2つの違うキャリアで使用するためにはSIMロック解除が必要です。また1つ目のSIMでCDMAのキャリアであれば、2つ目のキャリアでCDMAは使用不可となります。実際のセットアップはQRコードやキャリアのアプリから行う流れになります。
本当にnanoSIM2つ使用可能なモデルは中国、香港、マカオから発売されるモデルとなります。iPhone XS MaxとiPhone XRを該当の国で買う人も出てくるでしょう。このモデルだとDSDV対応なので2つのSIMともLTE(VoLTE)対応します。
eSIM対応通信事業者に日本はない
オーストリアのT-Mobile Austria、カナダのBell Mobility、クロアチアのHrvatski Telekom、チェコのT-Mobile Czech Republic、ドイツのTelekom DeutschlandおよびVodafone、ハンガリーのMagyar Telekom、インドのBharti AirtelおよびReliance Jio Infocomm、スペインのVodafone Espana、英国のEE、米国のAT&T Mobility、T-Mobile US、Verizon WirelessがeSIMに対応します。
実際にDSDSするための情報は上記のURLで確認できます。2018年9月13日時点の情報です。後で追加されていくものと思われます。
通信性能は最大1Gbpsまで
i-simTripがいつも注目しているのは通信性能です。今回は「4×4 MIMO」と5CC対応が日本では一番注目するところです。また、5GHz無線LANで使用しているライセンス不要無線バンド(B46)を使ったLTE通信が可能です。日本でLAAを使う話はまだ聞いたことがないので今年のモデルで国内で使えるとは思えません。
2018年のiPhone XS/XS Maxも日本版モデル
今年のiPhone XS/XS MaxもiPhone 7からの流れを汲んで日本版モデルとなっているようです。
iPhone XSはA2098、iPhone XS MaxはA2102となります。このモデルはCDMA通信が可能なモデルです。それに対して米国、欧州(イギリスとドイツ、フランスサイトを確認)、シンガポールのモデルはA1920, A1921であり、これもCDMA通信可能なモデルです。
台湾版を見るとA2097, A2101となりCDMAなし版となります。香港版はA1920,A2104です。このA2104は中国、香港、マカオで販売されるiPhone XS Maxでnano SIM2スロットあるDSDV対応モデルです。
国別モデルと通信バンド
日本版モデルと通信バンド
シンガポール版モデルと通信バンド
このモデルは米国で発売されるモデルです。
i-simTripはAppleのアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、シンガポールの言語のサイトで確認しました。しかし、台湾版モデルで記載している情報に記載していますが、Appleのリージョンごとのモデル一覧と食い違いがあります。欧州モデルは台湾版と同じだと思われます。
台湾版モデルと通信バンド
気になる点が1つあります。以下のURLからリージョン単位でiPhoneのモデルを見れるのですが、こちらのサイトでみると欧州モデルがこのタイプとなります。

香港版モデルと通信バンド
このモデルは香港、マカオ、中国で発売されるモデルです。
※ただし、中国のiPhone XSはA2100となる模様です。
国内版と海外版でどちらがおすすめ?
今回は日本版の型番でiPhone XS/XS Maxが発売されるので、iPhone 7, iPhone 8/Xと同じように技適マークが海外版につかないと予想されます。そのためカメラのシャッター音をなくすために海外版を購入したい、DSDVしたいから香港で購入を考えている人は必ずいますが、安心して使うには国内版の購入でしょう。
また、型番別の通信バンド(周波数)を比較したところ海外でも3.5GHzでLTE通信できるキャリアが出たことで海外版でも日本の3.5GHz通信可能です。ただし、日本の1.5GHzや700MHzに未対応となります。3大都市圏であれば1.5GHzは関係ないですが少しでも地方にいる人(または行く人)であれば、あるに越したことはない周波数です。特に1.5GHzは高速通信のかなめで、700MHzはプラチナバンド(新しいのでまだ空いている)です。そういう意味でも海外版のiPhone XS/XS Maxの購入する魅力は半減していると思います。
eSIM対応していますので、すぐ海外で試してみたい人にとってはキャリアから購入せずSIMフリー版の購入がいいかもしれません。
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